- 2019年7月24日
- 2019年11月25日
ホームページ制作のフローをECRS視点から改善できないか考える
ECRSの原則とは業務を改善・効率化するための
1.なくせないか?(Eliminate:排除)
2.一緒にできるか?(Combine:結合と分離)
3.順番を変えれるか?(Rearrange:入替えと代替)
4.簡単にできるか?(Simplify:簡素化)
という4つの順番と視点です。
もともとは、製造業の生産性向上を行うために開発されたフレームワークですが、Web制作フローの中でもこの考え方が利用できます。それぞれの視点からWeb制作のフローについて改善できる点か無いか考えてみました。
Contents
なくせないか?(Eliminate:排除)
業務の効率化を考える際に、最初に検討すべき視点です。
定例会議や報告用の資料作成など気づかないうちに形式的にやってしまっている業務ってありますよね?
その業務がなくなってもOKであれば、なくしたほうがコストや時間の節約になります。
ホームページ制作フローにおいて「排除」できる作業
レスポンシブなのにPC・スマホ両方のすべての画面デザインを制作する。
PCサイトのデザインが分かっていればスマホサイトのデザインは一定のパターンで展開されると想像できます。そのような画面はデザインをつくる必要はないでしょう。
デザイン案を複数提出する
デザインが複数案あったほうがクライアントの決裁がおりやすい場合もありますが、その分のコストがかかります。デザインの方向性や構成要素を企画・設計フェースの段階で固まっていれば、デザイナーが最善と考える案を1案をブラッシュアップしたほうが効率的です。
METAキーワードの設定
GoogleはもうMETAキーワードをサポートしていません。つまりどれだけキーワードを詰め込んでもSEO的な効果は期待できないということ。しかしこれまで入れてきたのでなんとなく入れているケースが多い。
タスクランナーで自動化できること
画像サイズの縮小やSASSのコンパイルなどgulpなどのタスクランナーを利用して自動化します。
htmlファイルやリセットCSSの用意
案件ごとに毎回htmlファイルやリセットCSSやgulp、package.jsonをまっさらな状態を作る人はほとんどいないと思います。多くの人はマイテンプレートを持っている人は多いはず。これも毎回ファイルを用意ECRSの一つかと思います。
資料やデザイン案が多いと仕事をやっている感はでますが、意味のないアウトプットを増やすことは生産性を低くする原因です。自分の生産性を落とすだけならまだしも、その意味のないアウトプットを受け取る人に不要な情報を与えることになり時間を奪うことにもつながります。必要な情報を適正なボリュームでアウトプットすることで制作の効率化とコストを抑えることにつながります。
2.一緒にできるか?(Combine:結合と分離)
同じような作業をまとめて(同時に)できないかを考えます。
同じような作業をまとめることで、その作業をするために起動するソフトの数が減りることで、PCの動作が重くなることを回避し、ソフト間を行ったり来たりする手間を減らすことができます。また、作業を分離することは作業者個人が必要とするスキル数も減らすことにつながります。
ホームページ制作フローにおいて「結合と分離」できる作業
デザインとコーディングの分業
ホームページの制作においてはデザインとマークアップ、プログラミングそれぞれの業務に特化したデザイナーやフロントエンジニアが分業することでスタッフひとりひとりに必要なスキル数を減らすことができます。
これとは逆に、システムのUIデザインのように使いやすさ・わかりやすさや、データの構造を意識したデザインを作る必要(装飾的なデザインが不要)な場合はデザイナー、またはフロントエンジニアがデザインとコーディングを同時に行うインブラウザデザインのほうが効率が良い場合もあります。
コーディング作業の分業
商品詳細などテンプレートを作ることができるページについては情報の流し込み作業はスキルの低いスタッフに担当させて、レイアウト制作やモジュールの作成など重要な部分をベテランのスタッフが担当するという分業がされる場合もあります。
3.順番を変えれるか?(Rearrange:入替える)
作業の順番や担当作業、作業場所の入れ替えなどで効率化を図ります。
ホームページ制作フローにおいて「入替え」できる作業
HTMLでワイヤーフレームを作る
Web制作における一般的な制作フローは、ワイヤーフレーム→デザイン→コーディングとなりますが、HTMLでワイヤーフレームを作成することで、コーディング時にテキスト情報をデザインデータからコピペする手間が省けます。(制作するサイトの規模や内容によってはHTMLのワイヤーフレームは適さない場合もあります)
RPAツールの利用
近年増えつつあるRPAツールの活用もECRSの原則の(Rearrange:入替える)にあたる業務改善です。これまで人間が手作業で行っていた単純作業をRPAに任せることで空いたリソースを人間にしかできない業務に充てることができます。
案件ごとにメンバーを入れ替える
案件ごとのチームで島を作りメンバーの席を入れ替えます。コミュニケーションが容易になり進行状況の共有もしやすくなります。
4.簡単にできるか?(Simplify:簡素化)
業務の一部をもっとシンプルにできないか?を検討します。丁寧すぎたり、無駄に難しいやり方をしている箇所が無いかを見直します。
ホームページ制作フローにおいて「簡素化」できる作業
連絡方法を簡潔にする
クライアントや社内でのバックログやスラックといったコミュニケーションツールに移行することによって、連絡方法を過去のメールを探したり、定型の枕詞を記入するといったメールでのやりとりで発生しがちな手間を省略することができます。
資料をシンプルに
これはECRSの「簡素化」に当たるのか、ちょっと自信がないのですが、分厚いプレゼン資料や資料をつくるより本当に必要な情報だけに絞って資料を作成したほうが渡されるほうも理解がしやすいです。
コーディング作業を細かく分解する
コーディングやデザインの作業の中で避けられ単純作業が派生した場合。
作業を細かく分解し、両手の手の動きをパターン化できる単純作業にまで落とし込み、思考することで手が止まってしまう時間をなくします。
まとめ
ホームページの制作フローもECRSの原則にならって見直すことで、ホームページ制作の効率を高めることができます。
いま現在、効率的と思われているフローも、新たな技術の登場や環境の変化により、効率的ではなくなることもあります。ECRSの視点からの制作のフローを見直しは定期的に必要となります。
さらに最近ではRPAツールの利用が増えてきています。単純作業をRPAツールに任せるために、業務内容を分解して簡素化・単純化するというというECRSの考え方の重要になっていくと考えられます。